紅型作業工程
紅型の簡単な工程を紹介します。
紅型には2種類の型があり、白地型と染地型に分けられます。
白地型とは、柄の部分を残して他の部分を彫りとった型紙のことで、
比較的簡単で、力強い印象の柄を描きたい時に用いられます。
染地型とは、白地型とは逆で地の部分を残して模様の輪郭を彫りとった型のことをいい、
白地型に比べて難しく、線を生かす柄に向いています。
型の種類はデザインによって変えますが、白地型と染地型を混ぜることもあります。
 
  図案は、古典柄など昔の人が考えたデザインをそのまま使ったり、アレンジしたりします。
古典柄の図案は図書館などでも入手できるそうです。
もちろん自分のオリジナルのデザインを使うことも可能で、紙に書いた好きなデザインを型彫り用に直しながらトレースに写します。
ST紙と呼ばれる型となる紙の上にトレース紙をのせ、糊でズレないように貼りつけて彫っていきます。
昔は、渋紙という紙が使用されていましたが、最近ではST紙を使用される方が多いです。
 
  豆腐を乾燥させて作ったルクジューと呼ばれるものを下敷きにして、突き彫りで型を彫ります。
ルクジューは柔らかいので彫りやすく、中から油が出てくるのでシーグが錆びるのを防いでくれます。しかし、使うときにぬるぬるするなど、人それ
ぞれに好みがあり、市販のビニールの下敷きを使う人もいます。
突き彫りは、引き彫りの鋭い線に比べて柔らかで味わいのある線が出せますが、時間もかかり神経を使います。シーグと呼ばれる小刀で彫っていくの
ですが、シーグは掘る人ひとりひとりがそれぞれの手に馴染むように、自分たちで刃先を削ったものを使用します。

型彫りとは別で、型紙を使わない筒引きという技法もあり、主に風呂敷やタペストリーを制作する際に使われます。
ホイップクリームを絞る袋によく似た、筒と呼ばれる糊袋の筒先より糊を押し出し、全て手描きで行うため、型染では見られぬダイナミックな線の味
わいがあります。
糊で柄を描いていくように行うので、型置きにはない面白さがあるそうです。
押し出す際に余計な力が入らないように糊はやわらかめにして行います。
「紗」という網目の布を型の周りに漆を薄めたものを使って貼りつけていきます。
型紙は茶色で、紗は透明ですが、漆を用いることで写真のように黒くなります。
紗張りは型紙がぐらついたり、また、抜け落ちたりしないよう強度を出すために行われます。
ここでしっかり貼り付けないと、型置きしたときに柄がずれてしまう原因となります。
また、紗張りをすることで、型紙がボロボロになるまで何度も使用することが出来ます。

彫り終えた型紙の上にペースト状の防染糊をヘラで薄く均一に伸ばし、布に模様を写し取って
いきます。
糊の硬さや配合は天候や湿度に左右されるので、日によって細かい調整が必要とされます。
湿度が多いと糊はやわらかくて、布まで浸透してしまい、にじむ原因になってしまいます。
逆に乾燥していると、糊が割れ、そこから染み出し、にじんでしまいます。
そのため、冬は加湿、夏は除湿が欠かせません。








型置きした生地に豆汁(豆乳と糊を混ぜたもの)を刷毛で引いていきます。
これをすることによって、顔料の定着を促し、またにじみを防ぎます。
均等に塗らないとムラの原因となり、豆汁の濃度が濃いと生地が固くなってしまいます。
最終的な顔料の発色や出来上がりを決める、大事な工程です。
 
糊の入っていないところに、明るい色から暗い色へと色を挿していきます。
明るい色からすると、柄から色がはみ出てしまっても比較的影響が少ないからです。
糊のある部分は防染されているので多少はみ出しても大丈夫なのですが、型置きでも述べたように糊から
色が浸透することもあるので、時折裏を確認しながら作業をしていきます。
 
隈取りとは、紅型の大きな特徴の一つで、中心からぼかして図案全体を引きしめ、
柄に立体感を生み出す技法です。
色挿しのときよりも少し濃い目の顔料をつけ、ぼかしていきます。ぼかすときに
使用する筆は、こしがあり、刷り込む時に無駄に力が入らないので、本来は若い
女性の髪で作られたものが良いとされています。
しかし最近では染めている人が多いので、キューティクルの整った髪の毛を入手
するのが難しくなっており、馬毛のものや習字の筆を改良したものが使用されて
います。
 
 
糊伏せとは地染めをする際、染めたくない部分の模様を防染糊でふせていく作業で、とても繊細な作業
の一つです。
ここで少しでも柄から糊がはみ出してしまうと地染めをした時にそこだけに色が入らず、出来上がったと
きにその部分だけが浮き、完成度が下がってしまいます。
また、糊が固すぎると伏せにくいので型置きと同じで糊の調整が必要で、やわらかいものがやりやすい
ようです。
染地型の場合は熊取り後にこの工程に入りますが、白地型の場合は、一度水洗いした後に行います。
 
この作業は地を入れるときに地染め前に行われます。
顔料の定着を促して、にじみを防ぐために水で薄めた糊を専用の刷毛で引いていきます。
 
 
大きな刷毛を使って引き染めしていきます。刷毛についている染料の量や、力の入れ具合で染めムラ
ができてしまいます。
また、布にたるみがあるときにも色が偏ってムラの原因となり、引っ張って平行にした状態で塗って
いかなければならないので、高度な技術と経験が必要とされます。
 
この作業では、色止め剤と呼ばれる薬品を使用したり、高温の蒸し器で蒸したりして色を定着させ、染料の色落ちを防ぎます。
濃い色や、落ちやすい色のものを蒸す場合は通常よりも長めに行います。
 
水元とは水洗いのことで、たっぷりのお湯か水で薬品や糊を洗い流していきます。
洗う際は染料がにじんだり、色落ちしたりするのに注意をしながらゆっくりと時間をかけて丁寧に
行います。
色の出方は、この水元の作業が終わるまでわからないので、思っていたより色が落ちてしまったと
きにはとても落ち込んでしまいます。
 
蒸気を使ってシワをきれいに伸ばしていきます。
これは湯のしと呼ばれる工程で個人では行わず、主に業者さんにお願いします。
 
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