工房がじまるにはいつも光が差し込んでいて、明るく和やかな雰囲気がします。
緑に囲まれた工房は全て手作りで、鳥のさえずりが聞こえ、ゆったりとした時間の流れを感じさせてくれます。
工房設立者の羽地 直子さんにお話を聞かせていただきました。
“がじまるの木は枝を広げて大きくなり、その枝はさらに地面へと根をはり１本の大木となっていきます。
細い枝が立派な大木となっていくように子供や孫につないでいく、そういう意味を込めて工房がじまると名前を付けました”
直子さんが、ちょうど工房の名前について悩んでいたとき、窓の外の大きながじまるの木が目に入り、がじまるのようになりたいと思ったそうです。
裏庭にあるというそのがじまるの木を実際に見せていただきました。
枝が根をはり、幹とからみ合って一本の大木のようになっており、まるで互いに支えあっているかのように感じました。
設立当時は直子さんと娘さんの美由希さんだけでしたが、今では人数も増えたことで、
お互い刺激し合い、ひとりひとりが製作意欲に満ち溢れてきたそうです。
直子さんは、技術面でたくさん学ぶことはあるけれど、何よりも１番に糸を大事に扱うということを大切にして欲しいといいます。
“糸一本一本にはその糸を績んでくださった方々の心が込められているので、
決して糸を雑に扱ったりしないこと、糸を大事にする気持ちを持って織りに向かって欲しい”
宮古上布に携わる者として、一番大切な糸を大切にする心を直子さんは教えてくださいました。
“工房を訪れる人は熱意を持って宮古上布に取り組もうとする方ばかりなので、どんどんと成長していくのが見ていて感じられてとても嬉しい。
これからたくさんのことを吸収して、大きくなっていって欲しいです。今後もみんなで楽しく支えあいながらやっていきたいです。
そして各々が自分の織りたいものを織れるように力をつけていって欲しい”と、とても柔らかな表情で話してくださいました。
がじまるの木のように、最初は細く頼りない枝たちが一本の大木となることを
心から楽しみにしているということがお話を聞かせていただく中で感じることが出来ました。
“みんなで楽しく支えあいながら”
そう言う直子さんの言葉通り、とても和気あいあいとした賑やかな雰囲気が工房がじまるにはあります。
取材者・文／小池佳子 ２００８．０９
羽地 直子
〔工房がじまる〕
織りを始めて18年目になります。
反数を重ねるごとに、宮古上布に魅了されています。そして、
子や孫にも伝えていきたいと強く思う様になりました。おばあ達の
手で紡いだ一本一本の糸を大切に織り込んでいきたいです。
羽地 美由希
〔工房がじまる〕
子供の頃から、いつもそばにあって、母の手伝いをしている内に
興味を持ち、23歳で織りの世界に入りました。
宮古島のおばぁの手から作られるブー（苧麻）が大好きです。
昔からある模様（絣）が目標です。
昔ながらの手作業を学んで、そこから新しいものを作っていき
たいです。
砂川 真由美
〔工房がじまる〕
手績みの糸が出す自然な風合いがとても好きで、機に座ってい
る時は、色んな事を忘れて、織りに没頭しています。宮古上布
は織り上げるのも、本当に気の遠くなる作業です。織りに入
る前の工程は更に大変な作業ですが、自分でできる様になりたいです。
宮古島のおばあ達の”績む”糸に日々感謝して、楽しく機織り
したいです。
羽地 真佐代
〔工房がじまる〕
宮古上布は糸になるまでの工程が特に素晴らしいと思います。
手績みの糸を見るたび"どうしたらこんなことが出来るのだ
ろう"と感動させられます。
今はまだ周りに助けてもらいながら、織っていっている状態
ですが、織り上がるまでの工程を自分で出来るようになれるよう
努力したいと思っています。
桃原 初枝
〔工房がじまる〕
宮古上布の魅力は、手績みの苧麻にあると思います。
その日その日で変わる苧麻糸に触れるのがとても面白く、
何もしていない時間があれば織りに向かいたいと思うほど、
織が楽しくてが仕方ありません。
今後は着尺の総絣が織れるようになれたらいいなと思って
います。
砂川 利津子
〔工房がじまる〕
何も知らず飛び込んだ宮古上布の世界でしたが、今は織りに
向かっている時間は私にとって、とても大切な時間となりました。
今後は伝統的なものはもちろん、新しい模様の絣柄も織れるよう
に頑張りたいです。
根間 千鶴
〔工房がじまる〕
宮古上布の世界に入ってまだ間もないですが、織りが進むと
きには自分も自然の一部になったような気持ちになり、とて
も楽しいです。
宮古上布の伝統を残していくためにも頑張って続けていきた
いと思います。
