(苧麻工房330)  
當真 まり子
1971年(昭和46年)藍染、十字絣の宮古上布が織りたくて、
下地恵康氏の工房に入りました。その頃宮古上布は
年間900反程織られていました。
初めて苧麻に触った時から、この糸だけでもきれいなのに
と思っていました。
ずい分長い間、織りから離れていましたが、一昨年から
たくさんの方に助けていただいて、帯を織りはじめています。
手績みの苧麻の良さが生きる布を織りたいと思っています。
製作者のコメント



私が、宮古上布の世界に入ったのは、19歳のころでした。
後継者がいないという宮古上布の現状を、人を通じて知ったことがきっかけです。
すぐに、"下地恵康工房"へ入り、宮古上布について学び始めました。
下地恵康氏の工房は、織りをされている方が20人くらいいて、更に、出機(でばた)といって、自宅で織りをされている方もいたので、とても賑やかでした。
皆さんベテランの方ばかりで、30年も前の話になりますが、藍染十字絣の宮古上布を1か月ほどで織りあげていました。
よく人に、"最初の頃は慣れるまで苦労したでしょう"と聞かれることがありますが、工房には先生が2人いて、大変丁寧に指導してくださったので織りについては、困ったり悩んだりするようなことは少なかったように感じます。
ただ、この頃は日曜日がお休みなんてことはなく、一反織り上げないとお休みがもらえませんでした。その為、とてもお天気の良い日には、遊びに行きたくて、我慢するのが大変だったことを覚えています。


私が初めて織り上げたものは、糸の太い生成りの布だったのですが、2反目には横絣の琉球絣模様の藍染上布を織りました。
水の模様がきれいに織れなくて、何回も糸を外してやり直しをしました。
完成したものを見て、祖母が"欲しい!"と買ってくれて上手に織れているととても喜んでくれました。その姿はとても嬉しくて、私の励みになりました。
3反目は、藍染十字絣を随分と長い時間を費やして織り上げました。
子供を産んだこともないのに、"子供を産んだときってこんな気持ちなのかな"と感じたくらい嬉しくて達成感を覚えました。
そして"次はもっと早く織るぞ"という目標につながりました。
出産や子育てで少しブランクがあったので、織りに向かっていても悩んでしまう時間が多く感じますが、気持ちよく織れるとき、砧打ちをされて、きれいになって返ってきた布を見るときには、やはり"織りは楽しい"と強く思います。
"私にとって宮古上布とは何なのか"
はっきりと答えることはできませんが、"宮古上布に逢えてよかった"と心から思います。
宮古上布の魅力は、多くありますがやはり1番は"手績みの苧麻"にあると思います。
初めて糸に触れたときに、そのあまりの素晴らしさに一瞬で虜となりました。
糸の一本一本に心が込められ、丁寧につながれた糸は宮古上布の生命です。
私は、この手績みの苧麻糸が好きなので、今後は糸の良さが前に出ていくような布を織りたいと思っています。





當真 まり子さんと出会って


まり子さんと初めてお会いしたときは、あまり時間がなかったこともあり、簡単な挨拶だけでお話をさせていただくことが出来ませんでした。
そのため最初のうちは電話やFAXでのやり取りとなりました。顔が見えない電話やFAXでのやり取りは、失礼がないようにといつも以上に緊張して力が入ってしまっていたのですが、とても丁寧に対応してくださるので、落ち着いてお電話させていただくことが出来ました。再度お会いし、詳しいお話を聞かせていただくときには、自分自身の考えや意思をしっかりと持っておられるまりこさんの迷いのない口調は、とても心強く感じました。
お話を聞かせていただくなかで、手績みの苧麻糸に対して強い思い入れを感じました。
初めて手績みの苧麻糸に触れたときに"感じるものがあった"とまり子さんはいいます。手績みの苧麻糸は、糸績みをされておられる方たち思いが込められていて、素晴らしくきれいなものだから、織るときにはその良さを壊してしまわないようにと、とても緊張してしまうのだそうです。
長い年月受け継がれてきた宮古上布の手績みの苧麻糸の美しさが、一人でも多くの人に伝わるように、作品づくりに励んでいるのだと話してくださいました。
織りを始められた年齢が19歳と若かったので、その点で何か苦労されたことはありませんか、という質問をすると、"織りについて苦労はあまり感じなかったけれど、やっぱり若かった分遊ぶことにも興味があったのでその我慢は大変でした。夜遊びに行って朝起きれなかったりとかもありましたね・・"と少し照れくさそうに話してくださいました。
その後、多少のブランクがあるもののずっと宮古上布を織られてきたまり子さんですが、宮古上布に対する熱意は昔と変わらない、むしろ年々増えるくらいだといいます。
まり子さんが宮古上布を習い始めた頃、まだ織ってもいないのに工房に糸を売りに来られていたオバァたちが"まいふかゆ~"と言って背中をさすってくれたそうです。
"まいふかゆ~"とは、方言で"ありがたいね~"とか"おりこうさんだね~"という意味らしいのですが、そうやってたくさんのオバァたちに褒めてもらった分、"この先も織りを頑張っていかないと"と思うそうです。


今後は糸の良さや表情が前に出ていくような布を織りたいというまり子さん。
和服だけでなく、布として高く評価されるものにしていきたいのだといいます。
世界に認めてもらえるようなものを作っていきたい、と今後の宮古上布の発展について話すまりこさんの表情はとても楽しそうで、見ていてとても嬉しくなりました。
目を輝かせて話すまり子さんの宮古上布にかける情熱は、言葉の壁を越えて世界中の人に伝わり、宮古上布の素晴らしさを広めていってくれます。



取材者・文/小池佳子 2008.09
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