(工房風樹)   砂川 一人
砂川 一人
 
平成18年より父であり、重要無形文化財砧打後継者である
砂川猛氏のもと、 砧打の修行に励んでいます。
無我夢中で勉強しているうちに、宮古上布の魅力や砧打の
奥深さにのめり込 んでいきました。
学ぶことの多さに戸惑うこともありますが、今後は様々なことに
目を向けて、吸収し、成長していきたいです。
そして、父に一人前だと認めてもらえることを目標に頑張りたい
です。
砂川 一人氏のコメント



私は神奈川で生まれ育ったのですが、宮古島には祖父母の家があり、幼い頃から遊びに来ていて、祖父が砧打ちをしていたことから宮古上布は身近にありました。
けれど、その頃はもちろん関心もなく、ただ『宮古上布』という単語を耳にしていただけで詳しいことについては全く知りませんでした。
宮古上布について興味を持って知ろうと思ったのはやはり、父(重要無形文化財砧打継承者 砂川 猛氏)の存在とその影響が大きいと思います。
父を通じて宮古上布が後継者不足という問題を抱えていることを知り、それではいけないと思ったことも私が砧打ちを始めたきっかけの一つですが、そのことよりも父が砧を打ち始めてから生き生きしていくのが感じられたことで、宮古上布の魅力そのものに興味が涌き、自分もやってみたいと思うようになりました。
そこで、父のもとで修行しようと約二年半前に宮古島に移り住みました。
初めのころは、麻でできた袋をひたすら叩き、砧打ちをするのに必要な呼吸法を習いました。
砧打ちは一定のリズムで打ち続けながらも、力の強弱や砧を振り落とす場所などに気を配らなければならないので、集中力と神経、そしてもちろん砧を打ち続ける体力が必要とされます。午前と午後でも変わってしまうデリケートな上布の気分を一定に整えていくことがとても難しく、たくさん本を読んだり話を聞いたりして勉強しました。
学ぶことの多さに四苦八苦する日々の中、手のマメがつぶれたりして大変な時もありましたが、砧打ちを嫌いになったりすることはありませんでした。少しずつでも成長している、そう信じてひたすら砧打ちを続け、一年程前になってようやく宮古上布の仮打ちをさせてもらえるようになりました。
私が打ったものを父が仕上げるのですが、私が打って叩きムラなどがあると父に手間をかけてしまうことになるので、そういうときには心から申し訳なく思うし、もっと頑張ろうという気持ちになります。
砧打ちを始めて二年半が経ちましたが、今まで続けてこられたのは父がバランスを上手く取って指導してきてくれたからだと思っています。その気遣いに応えたいと無我夢中で勉強しているうちに、私自身も宮古上布の魅力や砧打ちの奥深さにのめり込んでいきました。
何より砧打ちをしていて良かったと思うのは、上布の仕上がりを見てキレイになったと喜んでいただけたときです。そのときに向けられる笑顔は私のやりがいとなり、いつも励まされています。糸を績んでくれる人、織ってくれる人たちがいて砧打ちをすることができる。どれか一つでも欠けていると出来上がることのない宮古上布だからこそ、みんなの力で作り上げるもの、みんなで一つなんだと実感します。
今後は様々なことに目を向け、吸収し、成長していきたいです。
そして、父に一人前だと認めてもらえることを目標に頑張りたいと思っています。




下の画像クリックで砂川一人さんの作業風景がご覧いただけます。



作業風景1 作業風景2 作業風景3 作業風景4
砂川 一人さんと出会って


砂川 一人さんは“努力家”という言葉が似合う人だと思います。
それは初めてお会いしたときから抱いていて、今も変わりません。
一人さんの前向きな情熱や、努力を怠らない姿勢は私自身見ていてとても学ばされます。
そして何より宮古上布に対する熱意は、一人さんの父であり、指導者である重要無形文化財砧打継承者の砂川 猛氏に勝るとも劣らないと思います。
じっくりお話をうかがうのは初めてだったのですが、とても穏やかな言葉遣いの中に宮古上布に対する誇りと、宮古島に長く受け継がれてきた宮古上布という伝統を、自分達若い世代が守り伝えていくんだという強い意志を感じました。
お話を聞く中で一人さんの口から一番多く話されたのは、やはり父・猛氏のことで、そこから一人さんがいかに尊敬しているかを感じ取ることができました。
父と子であり、師匠と弟子の関係でもあるお二人の間に流れる空気は決して身内だからという軽いものではなく、それでいて重過ぎることのないとても自然な緊張感があると感じました。
それは、父が気遣ってくれているからだと一人さんは言いますが、決してそれだけではなく、一人さんのひたむきな姿勢もそうさせているんじゃないかと私は思います。 
とにかく勉強熱心な一人さんですが、今でも朝の一礼は欠かさないといいます。
これは父・猛氏の教えであるそうですが、砧を打つ前には手を合わせ事故のないようにと祈るそうです。
砧打ちでいう事故とは失敗のことを指すそうですが、そういった気持ちで上布と向き合う心が宮古上布を更に輝かせているように思いました。
父の打つ砧の音は一定で耳に心地がよく、とても安心させられると一人さんは言います。
父・猛氏が砧を打つ姿を見つめる一人さんの真剣な眼差しからは、全て学び取ろう、吸収しようとする迫力があります。
“親が師匠なので、いろいろ言われて、ムカついたり話もしたくない時はしょっちゅうありますが・・始めた頃と比べると、少しは上達していると思っています。
いつか、とうちゃんにでは無く、自分に砧打ちして欲しいと頼まれてみたいです。
そんな時に自信を持って仕上げられるようにしたい。自分の打ったものを見て父に合格点をもらうことが出来たら、自分自身の砧打ちに自信が持てる”と一人さんはいいます。
決して自分を甘やかさず、いつまでも素直な気持ちで臨む一人さんの姿勢からは、何かを学ぶ者としての大切なことを教えてもらいました。
匠の技を持つ、重要無形文化財砧打継承者 砂川 猛氏のもとでまっすぐに伸び始めた一人さんの職人としての心は、今後の宮古上布の発展においてなくてはならないものとなるだろうと思います。

取材者・文/小池佳子 2008.09
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